退職の挨拶は?朝礼・メール(社内・社外)など状況に合わせたケースを解説

退職の挨拶

転職や定年などで職場を離れることになったとき、多くの会社では退職の挨拶を行う場をもうけてくれます。

一般的には、業務連絡もかねて朝礼の際にスピーチで行うことが多いでしょう。

ところが、いざ大勢の前で話そうとすると、案外うまく言葉が出てこないもの。

そのうち頭が真っ白になって、話がまとまらなくなり、まるで締まらないまま挨拶が終わってしまった、という失敗話もめずらしくありません。

退職の挨拶というのは、いわばその会社での総仕上げともいえます。

できることならきれいな形で終えて、すがすがしい気持ちで旅立っていきたいものですよね。

では、実際に退職の挨拶でスピーチを行うさいには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

ここでは、そのポイントや例文などを挙げて、またメールによる退職の挨拶もふくめ、説明していきたいと思います。

朝礼で退職の挨拶をする際のポイント・例

退職の挨拶を考える前に

退職の挨拶をスムーズに行うには、まずどのような内容を話すかある程度考えておく必要があります。

そのさいに気をつけるべき点がいくつかあるので、紹介します。

内容はシンプルに

朝礼は、あくまで会社の業務の一環です。

そこで個人的な思い出話などをだらだら続けてしまうと、本来の趣旨からずれてしまいますし、時間が長引いてその後の業務にも支障が出かねません。

何より、聞いている側としてもあまり心に残るものとはならないでしょう。

挨拶はあくまで退社の報告をメインと考えて、できるだけシンプルな形にしてください。

感傷的になりすぎない

退職というのは、本人にとっては人生の一大イベントです。

それまで多くの時間を過ごしてきた職場を離れるにあたって、感情がこみ上げてくるのも仕方ないことでしょう。

とはいえ、あまりに湿っぽい雰囲気になると、聞いている側の気分まで暗く重たくなって、場が沈んでしまいます。

気持ちよく送り出してもらえるように、挨拶はできるだけ前向きで明るいイメージで終えるようにしてください。

伝えたい想いは送別会で

それでも、やはり退職についてのさまざまな想いは、親しい同僚や上司などにぶつけておきたくなることもあると思います。

その場合は、会社ではなく送別会などの集まりで、話すようにしてください

仕事上の付き合いとプライベートは、あくまでしっかり区別しておくことが大切です。

300文字程度の長さがベスト

いくらシンプルがよいといっても、ただお別れをひと言述べるだけでは、あまりに味気ないものです。

とはいえ、あれもこれもと内容を詰め込んでいると結局長くなってしまう…。

そのようなときは、まず300文字を目安に文章を書き起こしてみてください。

これは時間にするとちょうど1分程度で、もっとも聞きやすい長さとなるからです。

最大でも、600文字ぐらいまでにおさえるようにしましょう。

退職のあいさつで必要となるポイントとは?

次に、実際に文章をつくるさいのポイントについて説明します。

これを順番どおりにふまえていけば、自然とよい挨拶ができているはずです。

STEP.1
日付
まず最初に、退職する日付を伝えます。
その日が退職日であれば「本日をもって」、後日であれば「~日付けで」という形で入ります。
STEP.2
理由
基本的に、退職する理由についてはくわしく触れる必要はありません。公にしたくない事情があるときでも、「一身上の都合で」と済ませておけば十分です。
理由を述べてよいのは、結婚や出産などのおめでたいときにかぎられています。ただし、その場合もあまり長々と触れるのはやめましょう。
STEP.3
感謝
上司や同僚、そして職場や会社へ感謝の気持ちを伝えます。
たとえば、職場での楽しかったことや嬉しかったこと、または仕事にはげんだことなどをエピソードとして挙げ、それについての感謝を述べる形が一般的です。
退職の挨拶では、たとえネガティブな事情が裏にあるとしても、あくまで表面上はそれをおさえて気持ちよく終えることが大切です。
STEP.4
激励
感謝を述べたら、最後に職場に残る人たちへ向けて今後のエールを送りましょう。
最後に前向きな一文が来ることで、聞いている人たちにもとても明るい印象をあたえることができます。

退職の挨拶の例文

では、以上のポイントをふまえて書かれた挨拶を見てみましょう。

なかなか自分で文章を作るのは難しいという人は、こちらを参考にしてみてください。

お忙しいなか、このような時間を用意していただき、まことにありがとうございます。本日をもちまして、私は一身上の都合により退職することとなりました。

 

(※年齢)歳で入社して以来、(※部署)のみなさまには数々のご指導をいただき、またさまざまなことを学ばさせていただきました。

 

仕事がうまくいかずに悩むこともありましたが、ここまで来られたのはすべて、上司の(※氏名)をはじめ、先輩や同僚のみなさま方があってこそです。

 

ここで得られた経験は、今後も私の人生においてとても大きな財産となっていくことでしょう。心から感謝いたしております。

 

異なる道を歩むことにはなりましたが、今後もみなさまのご活躍とご健康を心よりお祈りしております。

 

まことに、ありがとうございました。

状況に応じてアレンジする

以上の文章をもとに、自分の状況に合わせてさまざまにアレンジしてみましょう。

たとえば、この例文ではまだ送別会が行われていない朝礼での挨拶を想定しています。

もし送別会が行われていたあとであれば、あらためて退職の理由を述べる必要はありません。

また、挨拶の途中に送別会に対するお礼も述べておくとよいでしょう。

ほかにも、感謝を述べるさいにもっと具体的で個人的なエピソードがあれば、それを付け加えることで一段と印象的になります。

引き継ぎの業務連絡を行う場合は、その旨も書いておきましょう。

挨拶を読み上げる際のポイント

せっかくよい挨拶の文章を考えても、うまく読み上げられなくては台無しです。

大勢の前でスピーチをするさいには、以下のポイントをふまえるようにしましょう。

はっきりと分かりやすく発声する

挨拶の内容が全員に聞こえるように、はっきりと大きな声で話しましょう。

一番うしろの人に届くぐらいのつもりで声を出すと、ちょうどよいぐらいになります。

また、緊張するとどうしても早口になりがちで、聞きにくく言い間違いの原因ともなってしまいます。

スピーチではいつもよりゆったりと、頭のなかで文章を思い浮かべながら、それを読み上げるような感じで話してみてください。

視線を移す

スピーチで緊張する最大の原因は、大勢の人から受ける視線です。

だからといって、それを避けようと顔をうつむけたり、愛想笑いを浮かべたりしていると、何とも締まりのない挨拶となってしまいます。

気になる人は、自分自身の視線を流れるように動かしてみましょう。

たとえば、左奥の人から右奥の人へ、その前の列に移ったら今度は右から左へ。

こうして、なぞるように一人ずつ視線を移していきます。

大勢にではなく、あくまで一人ひとりに対して語りかけているような意識になるのがコツです。

聞いている側も自分に語りかけられているように感じられ、スピーチがより好印象となります。

メールで退職の挨拶をする際のポイント・例文※社内・社外

退職の挨拶を書くときのポイント

退職の挨拶は、メールで書くときも基本的にスピーチのときとポイントは変わりません。

それにくわえて、メールでは以下のような点にも気をつけましょう。

件名を分かりやすくする

相手がメールを受信したときに、すぐにそれと分かるような件名をつけておくようにしましょう。

「退職のご挨拶」としておけば、まず問題ありません。

後ろに名前を添えておくと、よりひと目で内容が伝わるようになります。

連絡先を記しておく

退職後の連絡先は、文中あるいは署名欄などに記しておきましょう。

職場を離れても人間関係自体は続くことがありますし、転職後も業種が同じであれば、会社とのつながりが新たな仕事を生むきっかけになることもあります。

ただし、円満退社でない場合は連絡先は記さないほうがよいでしょう。

また、社外の人間とはあくまでビジネス上の関係なので、それをわきまえて連絡先は記さないのもマナーです。

退職の挨拶メールの例文

では、退職の挨拶メールは実際にどのように書けばよいのでしょうか。

ここで例文を挙げるので、参考にしてみてください。

※社内向けの例文

件名:退職のご挨拶(※氏名)

 

(※部署)の皆様、お疲れ様です。

 

一身上の都合により(※日付)で退社することとなり、本日が最終出社日となりました。

 

本来であれば直接伺うべきところですが、メールでのご挨拶にて失礼いたします。

 

在職中はいたらぬ点も多々あったと存じますが、そのたびに皆様からの温かい叱咤激励の言葉をいただき、まことに感謝しております。

つねに仕事に前向きで取り組むことができたのは、ひとえにみなさまのおかげです。今後もこの会社で培った経験や学んだ知識を活かし、励んでいきたい所存です。

 

なお、今後の連絡は下記になりますので、何かございましたらこちらへご連絡いただければ幸いです。

 

メール:(※アドレス)
携帯:(※電話番号)

 

最後になりましたが、皆様の更なるご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。

 

これまで、本当にありがとうございました。

※社外向けの例文

件名:退職のご挨拶(※会社名※氏名)

 

(※会社名※部署)(※氏名)様

 

いつもお世話になっております。

 

私事で大変恐縮ですが、このたび一身上の都合により(※日付)をもって退職することとなりました。

在職中には、(※氏名)様に何かとお力添えをいただき、心より感謝しております。

ここに、あらためてお礼を申し上げます。

 

また、本来であれば直接お伺いしてご挨拶するべきところですが、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。

 

なお、後任は同じ部署の(※氏名)が務めさせていただくこととなります。

後日あらためて本人がご挨拶に伺いますので、その際は変わらぬご指導の程よろしくお願い申し上げます。

 

末筆ながら、貴社のご発展と(※氏名)様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

メールを送るタイミングに気をつけよう

退職の挨拶をメールで送るときには、それに合ったタイミングがあります。

相手によっても異なるので、気をつけるようにしましょう。

社内へ送る場合

社内の人間に対しては、最終出社日に送るのが一般的です。

ただし、会社によっては「退職日の何日前に送る」という慣習があることもあるので、その点は職場の先輩などに確かめておきましょう。

また、かならず会社の定時に間に合うように送ってください。

社外へ送る場合

退社の周知は、あくまで社内を最優先に行うのがマナーです。

社外の人間に報告するのは、それを待ってからにしましょう。

とはいえ、引き継ぎなどの関係もあるので、いきなり当日になって知らせるというわけにもいきません。

できれば、退職の数週間前には報告しておくようにしましょう。

また、メールはその日の午前中までに送っておくのもマナーです。

メールを送るときの注意点

退職の挨拶は、同じ文面のメールを一斉送信する場合が多いと思います。

このとき気をつけておきたいのが、メールの宛先欄をかならずBCCにしておくこと。

間違ってCCにしてしまうと、送信先のアドレスがすべて公開されることになります。

ただ相手に失礼なだけではなく、個人情報の漏洩になってしまうので、かならず確認するようにしましょう。

なお、親しい相手には、それぞれ個別の文面を用意しておくのもよいと思います。

本人同士にしか分からないような心に残るエピソードを添えておけば、よりいっそう心に残るメールとなるでしょう。

会社の退職には様々な感情が絡んでくる!最低限のマナーを押さえて心を込めよう!

退職の挨拶は、職場の人間と交わす仕事上の最後のコミュニケーションです。

だからこそ、どうせ去るだけだからとおろそかにせず、今回紹介したポイントをしっかり守って、気持ちのよい挨拶とするようにしましょう。

もちろん、誰もがかならず会社や同僚に対して、よい思いを抱いているというわけではありません。

特に退職に関しては、複雑な感情が絡んでいるケースも多いでしょう。

とはいえ、これまで会社で得てきた経験や信頼、そして受け取ってきた給料などは、まぎれもない事実のはずです。

それらに対して最後に感謝を述べていくことは、社会人として、人間として最低限のマナーといえるのではないでしょうか。

何より、退職は自分にとっては新たなスタートの第一歩でもあります。

それをすがすがしい気持ちでむかえるためにも、退職の挨拶は心をこめて行うようにしましょう。