働く上で、ときに仕事内容や給料待遇以上に重要になってくるのが「人間関係」。日々働く職場での人間関係は、仕事の満足度に大きく影響します。
たとえ好きでない仕事や激務の仕事であっても、人間関係さえ良ければそれだけで毎日働くことが楽しくなることも。
目次
仕事を辞めた方が良いケースと辞めるべきではないケース
人間関係で悩んで会社を辞めるというのは非常に悩ましい問題かと思います。辞めた後のことをよく考えなければいけないですし、自身の問題であれば最悪転職しても状況は同じままです。
こちらで、本当に仕事を辞めるべきかどうか確認してみましょう。
人間関係で仕事を辞めた方が良いケース
精神的に限界がきている
たとえば、たまに会う友人との人間関係が崩れてしまい嫌な思いをしても、大抵は一時的なもので済み大きなダメージとはなりません。
しかしこれが職場となると話は別。職場では毎日何時間も同じ人間と仕事をする事となります。人間関係の悪化は、少しずつ、確実に、精神的なダメージを蓄積していきます。
それが限界ラインを越えると「うつ病」などの精神病に発展してしまうことも。
次のような症状に心当たりはありますでしょうか。
- 以前より頭の回転が落ち、仕事がスムーズに進まない
- 以前は出来ていた仕事ができなくなった
- 職場にいくと、頭痛・めまい・立ち眩みなどを起こす
- 職場の人間関係を思うと、夜も眠れなくなった、朝起きられなくなった
- 感情が無くなった、感情表現が自然に出来なくなった
など
暴言や暴力、パワハラを受けている
単に「仲があまり良くない」、「避けられている」レベルではとどまらず、暴言や暴力といったパワハラ行為を受けている場合も、仕事を辞めることも考える必要があります。
たとえば、
- 「おまえだけ昼食は抜きだ」、「おまえだけ終電まで残業しろ」など立場を利用した理不尽な命令を受けている
- 「ゴミ」、「クズ」、「死ね」など、余りに酷い言葉の暴力を受けている
- 殴る、蹴るなど直接的な暴力を受けている
こういった行為は、パワハラに留まらず、名誉棄損罪や傷害罪などで法的に訴えられる内容でもあります。
あまりに酷い暴言や、直接的な暴力を受けている場合、それが当たり前だと思わないでください。もし相手の改善が見込めない場合、会社を辞め相手から離れる事も大切です。
セクハラを受けている
男性女性問わず「セクハラ」を受けている場合も、仕事を辞めることを考える必要があります。
たとえば、
- 性的な差別を受けている
- 卑猥な発言を投げかけられている
- 過度なボディタッチなどを受けている
- 立場を利用して性的な行為を要求してくる
など
こういった行為はセクハラに該当します。こちらも法的に訴えられる内容ですので、もしセクハラを受けている場合はそれが当然だと思わず、会社を辞める・訴えるなど行動にでる事が大事です。
以上のようなケースの場合、単に”人間関係が悪い”では済まされないレベルの話になってきますので、会社を辞めることも考える必要があります。
人間関係で仕事を辞めるべきではないケース
仕事を辞めるとさまざなリスクが生れますので、たとえ人間関係が悪くても直ぐに辞めるべきではないケースもあります。
ここでは、「こういった場合は人間関係が悪くとも仕事を辞めるべきでない」というケースをいくつか紹介していきます。
人間関係の原因が自分にある
人間関係の悪化は、自分自身にも原因があることがあります。
たとえば、
- 礼儀のない言葉遣い、挨拶をしないなどマナーができていない
- 相手の意見を否定ばかりしている
- 仕事をしっかりとやっていない、指示に従わない、出勤時間を守らない
- 個人プレーばかりしており、周りと関わらない
など
こういった、元々は自分の態度や行動が原因で人間関係が悪化している場合は、仕事を辞めるのではなく、自分自身を見直すことが先決です。
仕事として耐えられる
仕事というのは、人間関係も含め楽しいことばかりではありません。またどんな会社であっても多かれ少なかれ人間関係のこじれというのはあるものです。
今の人間関係が常識的に考えて耐えられる範囲のものであり、仕事として割り切れば乗り越えられる範囲のものであれば、安易に仕事は辞めない方がいいでしょう。
また「どうしてもやりたかった仕事であり仕事自体は楽しい」、「待遇の良い会社で人間関係以外は不満はない」といったような後押しがある場合は、それらの要素も含め天秤にかけ、今の人間関係の苦痛はそれに勝るものなのかを考慮した上で決断する事をおすすめします。
仕事を辞めると生計が成り立たなくなる場合
たとえば「貯金がなく仕事を辞めたら生きていけない」、「配偶者や子供がおり、今仕事を辞めたら家族が生活できない」といった状況の場合は、すぐに辞めてしまうのは注意です。
人間関係から解放されても、金銭的な苦痛に追い込まれる恐れがあります。
こういった状況の方は人間関係が辛くともある程度貯金などを貯め、仕事を辞めても生活ができる状態にしてから辞めることをおすすめします。
とはいえあまりに人間関係が酷く、どうにも耐えられないレベルまで追い込まれている場合はまた別です。
人間関係が嫌で会社を辞める前にできることはやっておくべき
人間関係がどうしても苦痛な場合、会社を辞めることも大切です。
ただし会社を辞めるというのはあくまで最終手段です。やれるべき事はやった上でそれでも耐えられない場合に退職を決断をする事をおすすめします。
ここでは会社を辞める前にできるだけやっておくべきことを、一つずつ紹介していきます。
他者に相談してみる
人間関係は自分一人で悩んでいるとドツボに嵌ることがあります。すべてが必要以上に悪いものに見えてしまい、客観的な判断ができなくなることも。
そういった状態で仕事を辞め転職しても、転職先の人間関係も同じように偏った目線で見てしまう恐れもあります。
改善を試みる
たとえば自分は人間関係に苦しんでいても、相手側に悪気はなく、あなたを苦しめている事自体が分かっていないケースもあります。
人間関係悪化の原因となっている相手が1人2人と少数の場合は、一度ハッキリと自分の苦しみを相手に伝えることも大切です。
それで相手が改心し人間関係が改善されるのであれば、仕事を辞める必要はありません。
職場の異動を要求する
職場変更や部署変更が行える会社であれば、職場の異動を申し出ることも大切です。職場や部署が変われば人も変わりますので、それで人間関係の問題が一気に解消できることも。
仕事を辞めるまでに追い詰められている場合は、強行手段として職場の異動に乗り出すことも大切です。
本当に耐えられないかをもう一度考える
人間関係の悩みというのは心の持ちようでも大分変ります。
暴言やセクハラなど度を超えたものは別として、「あの人と折り合いが合わないなあ」、「職場で少し浮いているなあ、避けられているなあ」程度であれば、自分の気持ち次第で乗り切れる事もあります。
次の転職先が決まってから退職しよう
人間関係が原因で会社を辞める場合であったとしても、出来る限りは在職中に転職活動をし、転職先が決まってから退職することをおすすめします。
退職後、必ず次の会社が見つかるとは限らず、場合によっては生活困難に陥ることもあります。
また無職になったことで精神的に焦り、良く調べずに人間関係の悪そうな会社を安易に選んでしまう恐れもあります。
どうしても耐えられない場合は除き、出来る限りは次の転職先を見つけた上で会社を辞めることが大切です。
有給休暇は消化してから辞めよう
会社を辞める場合には、残りの有給休暇を一気に消化できることがあります。有給休暇中は給料をもらいながら休めますので、精神的に大いにリフレッシュすることが可能です。
人間関係で悩み疲れたままの身体と精神で次の会社にいくと、上手くいくはずのものも上手くいかないことが。
人間関係で疲れ切った自分へのご褒美ではないですが、有給休暇は退職前に出来る限り消化し、リフレッシュした上で次の仕事人生への切り替えをしたいところです。
人間関係が理由で退職を申し出るときは正直伝えるのは止めよう
人間関係が理由で退職をする場合、退職理由には注意が必要です。
退職を申し出る際には、ほぼ必ず直属の上司にその理由を聞かれます。その際に「人間関係が嫌で会社を辞めます」と人間関係を理由に出すのは出来る限り避けるべきです。
これにはいくつか理由があり、
- 「そんな事で辞めるな」と相手にして貰えない
- 「人間関係が原因であれば改善する」と引き留めに合いやすい
- 次も同じ業界で働く場合は、転職後に今の会社の人間と付き合いがしにくくなる
- 人間関係で辞めると伝えると、退職日までの期間、職場に余計に居難くなる、引継ぎも苦痛になる
など
人間関係を理由に退職を申し出ると、上司や同僚側も良い気分にはならず、色々と面倒なことが起こり易くなります。
退職理由については、同じ「自己都合退職」の範囲であれば加工可能です。本心ではない退職理由を述べても後々法的なトラブルになることもありません。
ですので、人間関係を理由にするのではなく、もう少し荒波の立たない理由に変更して伝えることがポイント。
どうしても耐えられないなら転職するべき
以上、人間関係に悩んで仕事を辞めたい方へのノウハウとなります。人間関係というのは働く上で重要な要素です。
「人間関係がどうしても耐えられない」、「もはや疲れ切っており仕事すらままならない」、「精神的にも参っており身体もおかしくなってきた」、といった方であれば思い切って会社を変えることも大切です。
身も心もすり減らして働くと、その後のキャリアやあなたの人生すら悪い方向に向かっていく恐れもあります。
ただし、仕事を辞めるというのは大きな意味を持ちます。収入がダウンすることもありますし、急遽の退職が仇となり望むキャリアが歩めなくなる恐れもあります。
仕事を辞めることは良くも悪くも大きな転換になりますので「本当に辞める必要があるか」、「人間関係の問題はそれに値するものなのか」を十分に考えた上で決断することをおすすめします。